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礼拝メッセージ

「神の導きによる出会い」
創世記29章1~14節

渡邊義明牧師 

兄エサウの殺意から逃れるために、また、親族から嫁を見つけるためにベエル・シェバを出発しハランに向かったヤコブは、石を枕にして寝た夜に、天から地に伸びている階段を、天使が上り下りしている光景を夢に見せられるとともに、神から約束をいただきました。

それは父祖から続く主の祝福を確かに受け継ぐ者とされたこと、広大な土地と、多くの子孫が与えられすべての人の祝福の泉となること、また、どこに行っても、主が必ず共におられ、これからの人生の旅路を守り、必ず故郷に連れ戻してくださること、でした。

ハラン到着

 ヤコブはそれから、ハラン目指して一か月ほど旅を続けたとき、ふと見ると野原に井戸があり、そのそばに羊の群れが三つ、伏していました。その井戸から羊に水を飲ませる様子なのですが、井戸の口には大きな石がのせてありました。

ごみなどが入らないように、また大切な共有財産の井戸を使う羊飼いが全員集まってようやく持ち上げられるように大きな重い石をふたとしていたのです。と答え、

「皆さんはどちらのかたですか?」とヤコブはそこにいた羊飼いに尋ねたところ、「ハランの者です」と答えるではありませんか。目的地は近い!ヤコブの胸は期待に高鳴りました。

さらに、「では、ナホルの息子のラバンを知っていますか?」と尋ねると、「ええ、知ってますとも。」と答え、「もうすぐ、娘のラケルも羊の群れを連れてやって来ますよ。」と言うではありませんか!父ヤコブから与えられた言いつけは、ラバンの娘から結婚相手を見つけなさい、と言うものでしたから、もうすぐ目的の人に会える!将来の結婚相手に出会える!ヤコブの胸はさらに高鳴りました。

ラケルとの出会い

 ヤコブはそこにいた羊飼いたちに、まだ日は高いのだから、羊に水を飲ませ、もう一度

草を食べさせに行ってはどうですか?と言いました。

将来に嫁との出会いを誰にも邪魔されまいとおそらく、人払いをしようとしたのでしょう。

しかし、彼らは「そうはできないのです。羊の群れが全部集まったところで、あの石を井戸の口から転がして羊に水をのませるのですから。」と答えます。

それがその地域においての長い間の慣習だったのです。

そうこうしているうちに、ラケルが羊の群れを連れてやって来ました。ここでヤコブはとんでもない行動に走ります。

井戸の大石を開けたヤコブ

ラケルの姿を見るとすぐに、ヤコブは井戸の口に近寄り、なんと一人で大きな重い石を転がしてラケルの連れてきた羊の群れに水を飲ませたのです。

ヤコブは非常に怪力の持ち主だったのか、または持ち前の知恵を働かせて石を動かしたのか。いずれにせよ、ヤコブはその土地の慣習を大胆に破ってしまいました。

また、当時の女性の地位は低かったので、おそらくいつも最後にされていたであろうラケルの羊に新鮮な水を最初に飲ませてあげたのです。この行動から、ヤコブはラケルに会った瞬間に一目惚れしたことが明らかです。ヤコブはラケルに口づけし、遥か遠い旅路を、主が確かに守り導いてくださったこと。そして、自分のために素晴らしい嫁を用意してくれたことを悟り、感極まって声をあげて泣いたのでした。

主はご自分を信じる者を、必ず守り、目的地に導き、イエス様との、また神の家族との出会いを与えてくださるのです。