皆さんは、朝起きる時に目覚まし時計を使いますか?現代はスマホのアラームでしょうか。最近は地震の来る前やミサイル攻撃の際に鳴るというJアラートというものまでありますが、昔は「見張り人」と呼ばれる人が城壁の高い塔の上にいて、町の住民よりも早く敵の来襲を見つけて警報を鳴らし、迫りくる危険から人々を守りました。
彼らは国民を守るため立てられた兵士でしたが、聖書には、神の民を守るために、神によって立てられた特別な見張り人が登場します。それは「預言者」と呼ばれる人です。
★ 悔い改めとは、まっすぐ神に向き直ること
ユダヤの荒れ野に住み、らくだの毛衣を着、「悔い改めよ。天の国は近づいた。」と人々に向かって叫んだ洗礼者ヨハネは、存在自体が神からの警報でした。
悔い改めをヘブライ語でシューブーと言いますが、それは「(神に)向き直る」という意味ですから、ヨハネは「神に向き直れ。天の国は近づいた」と言ったわけです。
「これは預言者イザヤによってこう言われている人である。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ』」とありますが、昔、王が新たな場所に行くときは、通りやすいように道を造ったそうです。大きな岩を取り除いたり、橋を架けたりしたのですが、そのように神への心の状態を、曲がりくねったところはまっすぐにし、神とのあいだに何の障害物もないようにしなさい、ということであり、それは神に祈れる心の状態でもあります。詩人の八木重吉は「ゆきなれた道のなつかしくて耐えられないように わたしの祈りの道をつくりたい」という詩を書きました。
★ 天の国は近づいた
「悔い改めよ。天の国は近づいた。」とヨハネは警告しましたが、それは主の到来が近づいた、ということであり、それはすなわち、主の裁きが近づいた、ということでありました。ヨハネは洗礼を受けに来たファリサイ派やサドカイ派の人々の偽善を見抜き、悔い改めにふさわしい実を結べ、と激しく叱責しました。
彼らは表面的には敬虔な人たちでしたが、その実、ヨハネを侮り、真実な悔い改めはせず、やがて現れるキリストをも、侮蔑とねたみにより十字架にかけて殺したのです。
しかし真実な悔い改めは、必ず神への真実なる信仰と人への愛へと実を結ぶのです。
★ キリストは聖霊と火で洗礼を授ける方
ヨハネは、水で洗礼を授けましたが、後に現れるキリストは聖霊と火であなたたちに洗礼を授けると言われました。火にはありがたい面とおそろしい面があります。
ありがたい面としては、火は水よりも徹底的に汚れを清め、不純物を除きます。また火は寒い時に私たちを暖め、暗い夜道をも明るく照らします。しかし、おそろしい面として火が猛威をふるえば空襲や火災となって私たちを焼き滅ぼしてしまいます。
キリストは手に箕を持って脱穀し、実は集めて倉に入れ、殻は消えることのない火で焼き払われる、とヨハネは言いました。実とは、真実な悔い改めということです。
真実な悔い改めをした人にとって、イエス・キリストは聖霊と火によって、汚れを徹底的にきよめ、貴重なものへと純化し、平安や喜び、愛という温もりを与え、希望の光を照らして、永遠の御国へと導く救い主ですが、真実な悔い改めをしない人にとっては、燃え盛る永遠の火の地獄へ投げ入れる恐ろしい裁き主でもあるのです。