渡邊 義明牧師
長兄エサウの祝福をだまし取った弟ヤコブは、兄の怒りを買い、命を狙われるようになりました。危機を感じたリベカはヤコブを逃がすために、遥か遠いハランに住む自分の親族の中からヤコブの結婚相手を見つけるようにイサクに懇願し、ヤコブをハランに送り出します。
☆人生で初めて味わった孤独な夜に
ヤコブは家族の住むベエル・シェバを出発しハランに向かいました。
直線距離にして約700㎞。ヤコブにとってもちろん初めて行く道です。
とある場所に来たとき、日が沈んだのでそこで一夜を過ごすことにしました。恐らく周りは人家など何もない荒れ野のど真ん中です。自分を守るものが何もない全く無防備な姿で石を枕に野宿をしたのです。それまでは、曲がりなりにも家族と共に天幕の中に住んでいたのですから、ヤコブにとっては初野宿だったでしょう。夜も更ければ野獣の声なども聞こえてきたでしょうし、どれほど心細かったしょうか。ヤコブが経験した初めての孤独です。
しかし、その孤独な夜、神との出会いがあったのです。
神は、わたしたちが本当に弱い状況にいる時、不安な時、孤独な時に現れてくださるのです。
☆夢を見せられたヤコブ
石を枕にして横たわったヤコブは、一日中歩いた疲れもあっていつの間にか寝入り、夢を見ました。それは、先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしている、というものでした。
実はここにイエス様の姿が隠されています。つまり、天から伸びて、天と地をつなぐもの、それは神と人をつなぐイエス様を表わしています。わたしたちはイエス・キリストを信じることによって神の子とされる、すなわち天の父なる神と結ばれます。
またイエス様が「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。」と言われたように、わたしたちはイエス・キリストという階段、道、を通って天の父なる神のもとに行くことが初めてできるのです。
つまり、この天から地に伸びている階段(はしご)はキリストを表わしており、キリストを信じた者たちは、わたしたちはその道を通ることができますし、また、この階段を上ったり下りたりしている神の御使いは、イエス様が洗礼を受けた時に、鳩のような姿で天から下った聖霊をも表わしています。イエス様を受け入れることにより、わたしたちにも同様に聖霊が天から降されるのです。
☆主がかたわらに立って言われた
しかも何と、かたわらに主が立ってヤコブに祝福を宣言されたのです。その内容は、
- わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、主である。
- あなたの横たわっている土地をあなたとあなたの子孫に与える。
- あなたの子孫は大地の砂粒のように多くなり、東西南北に広がる。
- 地上の氏族はあなたとあなたの子孫によって祝福に入る。
- わたしはあなたと共にいる。
- どこへ行ってもあなたを守り、故郷へ連れ帰る。
- この約束を果たすまで決してあなたを見捨てない。
ヤコブは眠りから覚め、まことに恐れおののき、枕にしていた石を記念碑として立て、
を注ぎその場所をべテル(神の家)と名付けました。