フランスでは毎年2月2日にクリスマスツリーなどを燃やして祝うシャンデレールとい うお祭りがあり春の訪れを待望するそうです。その日はちょうどクリスマスから40日目にあたります。もともと、この祝いはイエス様が生後40日目に両親に連れられて神殿を訪れ た日を祝う行事でした。
☆ 救い主を待ち望んだシメオン
当時のユダヤでは、婦人が男子を出産すると出血により40日間にわたって汚れを負うと考えられていました。この期間が終わると、赤ちゃんを連れて神殿にお参りをするのです。律法に従ってマリアとヨセフも捧げものを携えて、御子イエスを抱いて神殿に参りました。すると、そこに高齢の男性が現れます。名はシメオン。正しい人で信仰が篤く、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいました。
では、イスラエルとは何でしょうか。
現在も存在する中東にある国の名前ですが、もともとイスラエルとは旧約聖書に登場する、信仰の父と呼ばれたアブラハムの孫の名前でした。
アブラハムにはイサクという息子が生まれましたが、その息子をヤコブと言います。そのヤコブが成長して神に与えられた新しい名前がイスラエルでした。そのイスラエルから12人の息子が生まれ、イスラエル民族が形成されました。イスラエルの特徴は神への信仰です。ところが、その当時イスラエルは苦しみの中にありました。なぜならローマ帝国とヘロデ王から二重に税が課せられ、霊的指導者であるはずの祭司たちは堕落し、神の掟である律法は曲げられ、神の正義も愛も失われ、貧富の差も広がり、まるで羊飼いのいない羊の群れのような、ありさまだったのです。
しかも、神がイスラエルに与えると約束された救い主は400年たっても現れませんでした。
☆ 待ち望みの試練
いつ来るのかわからない相手を待ち続けることは苦しいことです。
1977年新潟で忽然と消息を絶った中学2年生の横田めぐみさんを、母親の早紀江さんは半狂乱になって探し回りました。その苦しみは計り知ることができません。しかしその苦し みの中で聖書を通してキリストに出会い、20年目にして北朝鮮に拉致されていることもわかりました。その間ずっと早紀江さんは祈りと、教会の兄弟姉妹に支えられて何とか歩んでこられました。今もなお、めぐみさんとは再会できていませんが、一刻も早い救出を切に祈りながらも、すべてを主の御手にゆだねている、と。また、崩れ落ちそうな苦しみの中にあっても、聖書に励まされ、深い恵みと平安が与えられていると証ししています。
☆ 神を信じる者は決して失望させられない
救い主を待ち続けたイスラエルの苦しみが慰められることを待ち望んでいたシメオンに、神は聖霊を与えました。聖霊は別の表現では慰め主、助け主、賢明な助言者と言われます。シメオンは神への信仰と人々への愛のゆえに神から聖霊を与えられ、定められた時に神殿で 両親に抱かれた救い主に出会いました。そして死を超える永遠の慰めを受けたのです。
さらに84歳の女預言者アンナが近づいてきて神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に御子のことを話しました。彼女は若い時に夫に死と別れ、長い間、寡婦として生きてきました。当時の寡婦は、みじめな貧しい身分でしたが、彼女には強い信仰が与え られ、そのような彼女を神は決して見捨てず、日々の暮らしを支え、神の言葉を人々に伝える預言者としての使命を与え、尊く用いられました。神は真実かつ憐み深い方なのです。